32年前、ブラックレインの撮影で運を使いすぎた!? そんな店主が織りなす鉄板劇場【広島お好み焼き 和らび】

こんにちは!大正Laboの西浦です。

大正駅から徒歩15分、泉尾商店街のアーケードを少し出たところに、おしゃれなお店があります。

木のぬくもりがあたたかくて懐かしい、なんか親近感の湧くお店。

気になるけど・・・ 一見、何屋さんか分からない、そんな時に「広島お好み焼き」の看板を見つけました!

 

広島お好み焼き「和らび」さん

赤い暖簾がかわいい、広島焼きのお店です。

27日でちょうど1周年を迎えられた、大正区ではまだ新米のお店。

 

お店の前には、猫!?

猫の形をした板がずらりと26マイ! 分身の術と見せかけて、なんと、猫ちゃんのベンチだそうです。 おしゃれすぎでしょ。ほんとに座って大丈夫?

 

恐る恐る・・・腰掛けてみましたが・・・意外にもなかなかしっくりきましたー!  (あー割れなくてよかった)

猫のベンチ、インスタ映えスポットになりそうな予感! やっぱり大正区と猫は縁がある〜とニヤニヤしながら、早速中へお邪魔しましたー。

 

店内は8席の落ち着く空間

またまた温かみがあって素敵です。テーブル席(4名)とカウンター席(4名)があります。

この日は大正Laboのスタッフ5人で押しかけたので、一気に満員になっちゃいました。バッチリソーシャルディスタンスをとっています。

 

 

メニューはこちら

広島お好み焼き、そばorうどんor麺なしを選べます。

 

おつまみも気になる。そして安い!!

 

ドリンクも色々〜 ゆっくり飲みたいところですが、ランチだったので、

広島お好み焼き、そばで5枚お願いします!

 

 

目の前の鉄板で始まる、広島焼き劇場♪

ピッカピカの鉄板の上にはクレープ生地。広島焼きってこうやって作るんや。こんな目の前で見るのは初めてです。

 

 

かつおぶしと昆布が乗って、その上にたっぷりのキャベツが乗って

 

 

玉ねぎが乗って、豚肉も乗って、めっちゃボリューミー! ちょこっと見えるのは、おつまみとかで食べるイカ天やん!!これは広島焼きには絶対入ってるそうです。知らなかったー。

 

 

ひっくり返すコテさばきはお見事ですね! ひっくり返ったと思ったら、

 

 

いつの間にかそばの上に乗ってて、卵が3つ出現。なんかUFOが宇宙ステーションに集まってきてるみたい?そんなことを妄想しながら、出来上がるのをめっちゃ見てました。

乗せたり返したり、絵描き歌のようにどんどん完成していく感じ、このライブ感がたまらない! 目の前で見れるのは楽しすぎます。

 

あっという間に出来上がり♪

美味しそー!! ボリューム満点!でも野菜たっぷりだからヘルシー! キャベツの甘みとソースが合いますね。

 

 

マヨネーズが4種類あります。

とうがらし、からし、わさび、ノーマル。わさびが人気だそう。  私の好みは、ノーマル時々とうがらし!  味変できるのも楽しいですね。

かなり満腹!美味しかった〜! お腹がいっぱいになったところで、美味しい広島焼きを作ってくださった店主さんに取材させていただきました。

 

 

大正区出身、店主の大出さん

お話を聞かせていただいたのは、ユニフォームがお似合いの大出勉さん。大正区出身の元役者さんです!
大阪芸大を卒業し東京で活動後、地元大正区に戻り、昨年「和らび」をオープンされました。

役者さんから広島焼き屋? またまた意外な経歴の持ち主、なんだか面白そうなにおいがしてきましたよ。

 

お店を始めたきっかけは?

東京で芝居しながら、お好み焼き屋さんで働いてました。仲間とのホームパーティーで焼いたりも楽しくて、お好み焼きをやりたいのと、やっぱり芝居をやってたので作品作ったりしたいなぁっていう想いがありました。

芝居は45でやめたんですけど、終わりやなーと思ったわけじゃなくて、色んなことがやりたくて。なんかやったる!って気持ちがどんどん強くなっていったんです。自分は出ないですが、発信はしていけたらえーなーって思ってて。

お好み焼きと作品に関わる両方の夢を叶えるには、お勤めだとなかなかできないので、自分の城があればいいなと思って、地元に戻ってこのお店を作りました。

 

--- やりたいことが色々あって、そのための拠点を作って、そこが人の集まる場所でもある。なんか理想的ですね。ちょっとうらやましくなりました。

 

関西焼きじゃなくて、なんで広島焼きなん?

東京に行って初めてアルバイトしたのが広島焼きの店だったんです。演劇人、バンドマン、古着、広島焼きの街”下北沢”  意外にも広島焼きのお店がすごく多いところでした。

最初は関西焼きばかり食べてたんですが、ある時から広島焼も美味しいなーって思うようになって。もちろん関西焼きも好きなんですが、なんせ焼ける過程は広島焼きが楽しいです。大阪にはちょっと珍しいお店の方がいいかなと思って広島焼きのお店にしました。

焼いてるところ全部見えてるんで隠すとこがないんですが、ソースと麺はこだわってます!あとは、蒸しと焼きのバランスですかね。

 

 

「和らび」という店名の由来は?

「わらび」のアイデアは奥さんの好きな喫茶店から。わらびっていう素敵な純喫茶があって、その響きがいいなーって思ったのがきっかけですが、「蕨」という草が、踏まれても踏まれても起き上がる草の名前ってのも力強くていいなと思ったんです。

和めるお店にしたくて、わらびの”わ”は和むにして「和らび」とつけました。お好み焼き屋っぽくないですけどね(笑)

 

--- ロゴにはコテもデザインされててかわいい! 踏まれても踏まれてもの蕨もしっかりとしたコンセプト、めっちゃ伝わりました。

ちょっと遡りますが、

 

役者を目指したきっかけは?

子供の頃からやりたかったと思うんですが、一番は「蒲田行進曲」という映画を見て、かっこよさだけじゃなくて、かっこ悪い人たちが頑張ってるところに心打たれたんです。

蒲田行進曲見てからずっと、東京に憧れがありましたね。大学の時から先輩の劇団に入って活動して、卒業してすぐ東京へ行きました。

その前に、芸大に入る時ですが、一生忘れられない出来事がありました。

 

 

あの「ブラック・レイン」にエキストラで出たんです

--- えーーーーーー

1989年にリドリー・スコット監督が制作した「ブラック レイン」。故松田優作の遺作としてあまりにも有名な「ブラック レイン」のロケ地のひとつが大正区の中山製鋼所。大正区で撮影されたことは聞いてましたが、ほんまに映画に出た人がいたなんて! しかもちゃんと映像に残ってるという貴重な経験をした人がいたとはビックリです!

ゆーても32年前、大出少年は19歳でした。何がどうなってこうなったのか?聞きたくて聞きたくて前のめりになってしまいました。

 

当時、警官のエキストラ募集ででオーディションを受けたんです。警官役も何十人もいるんですけど…  ある時僕は、撮影を最前列で見学してたんです。

次のシーンで警官が1人いるってことになったらしく、その時リドーリースコット監督に僕が呼ばれたんです!!

マイケルダグラス、アンディガルシア、高倉健、と僕が並ぶというすごい光景がありました(笑)

実際の映画のシーンでは、最後、松田優作さんが捕まった時、マイケルダグラスと健さんが優作さんを挟んで入ってきて、警察署のドアをバーンって開けた時ここに座って驚いてるのが僕です。

 

--- えーーーーーーー 貴重!!! もう聞いてるだけで大興奮!  そのシーン見てみたい!!!

 

リドリースコットが演出してるんですけど、僕には台本もなくて、何のシーンかも分かってないし、英語も分からへんから、ポケーっとしてたんですが…

健さんがずっと僕に肩組んで、「こういうシーンで、君はこういう風に動いたらいいよ」って、あの健さんがずっと言うてくれてたんです!!

もう僕はウォーーーーって興奮しまくりでしたね。

 

---  健さんって、高倉健ですよね!!リドリースコットが言ったことを健さんが通訳して大出さんへ!? 何て贅沢な!!!

 

リハーサルして本番があって、そのシーンだけでも3、4時間あったんですが、そのシーンが終わった時に健さんが僕をわざわざ探しに来てくれて、目を合わせて、goodボーズをしてくれたんです!!

 

---  えーーーーーーー しびれますねー さすが健さん!! というかその話を聞いて私達もキャーキャーキャーキャー騒いでしまいました。こんな経験されてる方が目の前にいるなんて、なんか私も嬉しくなりました。

 

健さんの優しさがやばかったですね僕はもうこれで運を使いすぎてしまいました。

 

---  使っちゃっていいですよね。それ以上の価値があると思います。会いたいと思っても会えない人たちですもんね。。。羨ましすぎます!まさにプライスレス!

 

優作さんも奇跡的に隣でヘアメイクしてて、もちろん挨拶しか出来ませんでしたが、すごかったです。

夢のような時間でした!

19歳が人生のMAXと言っても過言ではないです(笑)

 

--- いやー 奇跡を起こしましたね!! 貴重なお話をありがとうございました!そこから大出さんの役者人生が始まってたんですね。

これまで色んな作品に出られたと思いますが、始まりのインパクトが凄すぎですね。その時の話を、今の若い人たちにも教えてあげたいですね。

 

 

これから、どんなお店を目指したいですか?

深夜食堂みたいなお店を目指したいですね。ゆーてもしゃべりますけどね。深夜食堂みたいな雰囲気の、仕事終わりに一人でポッと来れるようなお店、ちょっと寄りたいなーって思ってくれるようなお店にしたいですね。

日本酒にも力を入れてます。銘柄を決めないで酒屋さんと相談しながら全国各地のお酒をチョイスしています。この桝で利き酒もできますので、日本酒好きな方にも来てほしいですね。

 

そしてもう1つ、

芝居をする気はなかったけど、ずっとやってきてたんで映画をプロデュースしました。広めたいので半分ボランティアですが、シネヌーボーで6作品上映されてました。

実は次の作品も撮ってるのですが、監督がスランプ中でまだ公開されていない映画です。完成していつか観てほしいなーって思ってます。「群青いろ」こちらはブラックレインの100倍出てます(笑)

こんな感じで発信もしていける場所でもありたいです。

 

 

大正区についても聞いてみました!

やわらかい街になってましたね。これは昔からですが、人情を大切にしてる街だと思っています。

賑やかな方がいいですし、この店の前の通りが「鉄板焼きストリート」になって、いろいろ食べ比べできる通りになったら楽しいなって思います。たこ焼き、お好み焼き、広島焼き、ライバルって関係じゃなくて、みんなで楽しくやっていけたらもっと素敵ですね。

 

--- 奥様は島根県出身で、東京で暮らしてたそうですが、東京で見た「劇団維新派」のお芝居を見て惹かれ、追っかけて大阪に来られたそうです!それめっちゃ楽しいですね!

ご主人とも大阪で出会われて、今ではすっかり大正区民です。美味しいお店がたくさんあると教えてくれました。

そして 和らびさんのお店は「劇団維新派」のキャストの方たちが作られたそうです。木のぬくもりに癒される、あたたかくてセンスある店内、さすがですね! 一から作られたのでしょうか? 和らびさんができる前、ここは何屋さんだったのですか?

 

 

もともと僕の実家です。

ここは6畳間でした。昔はおばあちゃんの部屋で、そこは押入れで、一昨年までは僕がゴロゴロしてた部屋でした。

借りるか、他でやるか、いろいろ迷ってたんですが、知らない場所に行くより、自分の知ってる場所でやろうということになりました。

 

--- え!家?

何と、ここは大出さんの実家だったそうです。しかもここは居間。大出さんがゴロッとしてた居間が今は鉄板劇場に!!それも面白い!すぐそこに商店街もあって、いいですね。ということは、がっつりな大掛かりな店舗作りだったのですねー。

 

床抜いて、天井抜いて、昭和なガラスや木枠、前の材木を生かしながら作ってくれました。

 

--- そうだったんですね!! よく見るとガラスの模様が懐かしい、新しい木では出せないこのぬくもり、実家のぬくもりだったのですね。素敵すぎます!!

まさに小腹も心も満たしてくれる、そんなお店です。

 

 

取材を終えて

トイレまでこだわり抜かれた空間でした。ここまで仕上げた技術も凄すぎですが、なんとも言えないあたたかさには歴史があったのですね。

役者をされてたこともすごいなーって思ってましたが、何よりブラックレインのお話は強烈でした。興奮冷めやらぬまま、DVDを借りて大出さんを探してしまいました。知ってる人を探すってのも面白かったです。実はまだこのシーンを見られていない奥様、バッチリ大出さんを確認しましたよ。ぜひみなさんにも観てほしい。そして、和らびにこの話の続きを聞きに行ってくださいね。

 

 

【お邪魔したお店】
広島お好み焼き 和らび
住 所:大阪市大正区泉尾3-12-8 1F(大阪シティバス永楽橋下車徒歩3分)
電話番号:080-6633-5920
営業時間 :
11:30~14:00(L.O.)
17:30~22:00(L.O.21:30) ※時短要請中は〜20:00まで

※定休日等、最新情報はInstagramでご確認ください。@warabi.tsutomu

Nishiura

大正区研究中のライター西浦です。
大正区の魅力を楽しく分かりやすくお届けしていきます。

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