歴史と記憶、古き良き建物を残すための空き家再生!【ヨリドコ大正メイキン】がつなぐ、モノづくりの新しい形

こんにちは!ライター西浦です。

大阪市の大正区に、シェアアトリエがあるのをご存知でしょうか。ものづくりの街 大正区にふさわしい、作家さんたちが集まる場所。

私が知ったのはテレビ放送だったのですが、その時からずっと気になっていたところなんです。

ついに、そのおしゃれ空間へお邪魔させていただくことができました!

 

ヨリドコ大正メイキン

大正駅からは徒歩15分の場所にあります。

近所にはイズオ商店があり、小学校と高校とお寺と神社に囲まれているという・・・こんなに長閑でミラクルな場所にはなかなか巡り会えない気がします。

実はこの建物、老朽化が進み、取り壊すしかないと言われていた築65年の古い長屋だったんです。10年以上賃借人がいない空き家。

そこから、耐震改修+全面リノベーションという大改修を経て2017年に生まれ変わりました。

 

元の姿がこちら

建物の形は同じですね。それ以外は・・・。窓も入り口もないし、隣と繋がってる?とも見える構造。このヒビ割れからすごい歴史を感じます。

ここから全部壊さずに、どうやって生まれ変わったのか?ただただすごい!の一言です。

古い建物を再生させ、新しいけど懐かしくてあたたかい、そんな「ヨリドコ大正メイキン」をご紹介いたします。

 

「ヨリドコ大正メイキン」ってどんなところ?

大正区でメイキングする拠り所。モノづくりを営む人のためのシェアアトリエです。

アトリエ (作る場所) + 店舗 (売る場所)+ 住居 (住む場所)  が一体化した面白い空間。

1階はクリエイターたちが作業できるアトリエと、作品を販売できる店舗スペース。2階は工房兼住居スペースとして貸し出されています。

 

シェアアトリエだけではなく、住居とショップも併設されているとは、一度で三度おいしい!ですね。

では早速店内へ。

 

 

クリエイター作品が並ぶ「ヨリドコSHOP」

こちらが店舗スペースです。一点物からオーダーメイド作品まで、ヨリドコ大正メイキンで活動するクリエイターさんのアイテムを取り扱うお店。

モノづくり体験のワークショップやクリエイターさん達による企画イベントなども不定期開催しています。

営業日はInstagram @yoridokoshopでご確認ください。

 

その奥には、

 

シェアアトリエ

(個室ブース)

木のぬくもりを感じる心地よい空間。コミュニケーションが取れるように、壁や境目がないのが特徴です。

防音の個室も用意されていて、音を出す作業も可能ですよ。

 

 

こちらに並んでいる可愛らしいお家?は、「可動式巣篭もりパーテーション」。四角い枠は実は、覗き窓になってるんです。

集中しながらも、小窓から外の様子もうかがえるという画期的なスペースは想像するだけでも面白い!これウチにも欲しいです!

建築士、デザイナー、イラストレーター、映像作家などなどの、作業を伴わないデスクワークの方たちの場所としてもご利用いただけます。

 

 

 

2F は、住居兼個室アトリエ

5室ともそれぞれデザインが違うお部屋なんです!(15.5畳、トイレキッチン付き!安全面やエコロジーに配慮したオール電化の空間)

このお部屋たちは、DIYコンテストで公募した5組のチームにそれぞれのデザインで内装を施工してもらったそう!! 施工時からワクワクが詰まってたんですね。どの部屋も雰囲気があって素敵です。

 

現在は1室(201号室)のみ入居者さん募集中です! この素敵空間に住みたい♡と妄想てしまいました・・・・

 

こんな憧れの楽しい場所を作られたのは、オルガワークス株式会社さん。大阪市北区のシェアオフィスも運営されています。

本日は、専務取締役の、このお方にお話を聞かせていただきました。

 

 

オルガワークス株式会社 専務取締役 細川裕之さん。

専務という肩書きながらも、デザイナーであり、ビジネスコンサルティングに、心理カウンセリング、飲食店に、商品開発と、覚えきれないくらい複数の本業をお持ちなんです。

こんなに忙しいのに、いつも楽しそう!というのが印象的な細川さん。

もう1つビックリしたことは、細川さんの出身地である「香川県三豊市」は、私の出身地と同じだった!ということです。
大正区で仕事をしながら、こんな地元が同じ人にお会いできるなんて、もう嬉しすぎました!!(大正区出身じゃないんかい!という声が聞こえてきそうですが、そういうこともありまして。)

 

かなりテンション上がりつつ、話を本題に戻します。

 

「ヨリドコ大正メイキン」を作ることになったきっかけを教えてください!

(左側が南棟)

当時、社長の小川が「ここをどうにか残したい」と思っていて。隣の南棟(同じく築65年の長屋)にイラストレーターの神吉さんが住むことになったのが始まりですね。

古い建物を活用して若い人が住むことが話題になり、神吉さんがアトリエを始めると、そこに人が集まるようになりました。みんなで何かをすると、こんなにも場所が変わるんだということが実証された感じですね。

彼女が起点になって、そのことが大きなきっかけだったのですが、

 

最初は、縫製工場を作ろうとしていた!?

大正区自体が”ものづくりの街”であり、縫製を生業にしてる方が割と多かったのと、北区でアパレルブランドをやってたので、小川が「縫製工場を作ろう」としていたんです・・・。

それはさすがに止めましたけど、笑。

その想いも含め、若い人はモノを作りたいけど場所がない…という気づきから、「アトリエがいいんじゃないか!」と提案しました。

シェアオフィスを運営していたビジネスモデルもあったので、「シェアで使える場所がいいんじゃないの?」ということで、シェアアトリエをつくることになりました。

作品作りに広いスペースがほしいけど、わざわざ1室アトリエを借りるってすごくリスキーなのでね。気楽に使える場所があったらいいのになぁという自分自身の体験から、みんなが使いやすい空気感をイメージしていきました。

 

ーーー アトリエになって良かったです、笑。この発想は経験者じゃないとイメージできないですよね。

 

空き家を通じて、地域を活性化していきたい。

別々の分野で活躍するクリエイターが、同じ場所で活動することによって、新たな分野へのアプローチができる場所にしていきたい!

ここに人が集まることで賑やかさを取り戻し、地域活性化の一番のモデルになっていったらいいなと考えていました。

そのタイミングで、当時の大正区長が、WeCompass(一般社団法人 大正・港エリア空き家活用協議会)さんを繋いでくださり、僕も加わって、「空き家を生かしながらシェアの場所作りましょう」ということに固まりました。

そこから一気に計画が進んでいきました。

 

ーーー 強力なメンバーに出会われたんですね。このタイミングで「空き家活用のプロ集団」登場とは、ヒーローみたいな存在ですね!

 

 

古いものを残すということ

最初は「何でそんなに古い建物を手直しするのか?」「新築にしたらいいじゃないですか?」「更地にして駐車場にしましょう」などと言われ続けていたそうです。

ただ古いものを残すというのではなくて、「暮らしてきた方の歴史や記憶を残すために、元々土地が持っている古き良き建物を残すことを大切にしている」と伺いました。

その強い想いがあったからこそやり遂げたんですね。恥ずかしながら、私はそこまで考えれていませんでした。

耐震やリノベーションについても伺いました。

 

耐震改修とは、主にどんなことをするんですか?

まずは土台がしっかり地面を受けれているか?と、一番大きいのは、耐震補強用の壁です。この壁は、耐力壁(柱と柱の間に斜めの突っ張り棒となる筋交いを入れている)で、建物全体にバランス良く配置されています。両方向に入ってるので揺れに強くなるって仕組みですね。

なので、元の柱は添えてあるような感じです。理論上はしっかり耐震できています。

 

ーーー 柱って、すっごく大事なものというイメージでしたが、リノベーションの場合は添えられてるんですね。そして、この壁は補強用だったとは驚きです。そんなことは感じさせないくらいとっても自然に馴染んでいますね。

 

「新築」との違いは?

(耐震改修見学会の様子)

新築にすると、今の建築の法律に従って作らないといけないので、こういう素材の使い方はやっちゃいけなくて。当時のものだから許されてる部分がありますね。

手間としては、作り手からすると新築がいいでしょうけどね。全部が歪んだものを、これから10年20年使えるものにするってすごく大変で。

 

ーーー なるほど!法律上でも出来ないことがあるんですね。昔の建物だからこその味、それなら絶対残したいですよね。

 

DIYメンバーも募集されたんですか?

DIYワークショップという形で、参加者を募りました。

壁紙貼ったり、釘をひたすら抜いたりとか、磨いてオイルを塗りこむとか、いろんな場面で皆さんに手伝ってもらいました。釘抜く作業を頼んだら怒られるかな?とか思ってましたが、みんないつの間にか「スン、スン」って釘を抜くことに夢中になってました、笑。

自宅ではなく、工事現場のDIYだと、かなり本格的なことができるので、楽しまれてましたね。

約4ヶ月で無事に工事が完了しました。

 

ーーー 釘抜き!なんかハマりそうなの分かります。DIYって馴染みがないと難しそうと思いがちですが、自分にもできることや、夢中になれることがあるって面白そう。そしてたくさんの方を巻き込んだというプロジェクトもアイデアも素晴らしいです。

 

 

広報は、SNSと漫画で!

宣伝広告などはしてなくて、作ってる渦中にクラウドファンディングとか、SNSで漫画で広報してたので、それを知った方からの口コミで入居者さんが決まっていきましたね。

場所の持ってる空気感をよく理解された方が入居されるので、ふらっと来て、いーやん!ってノリで。

 

ーーーその空気感いいですね。遊びに来るうちに住みたくなっていく、そんな場所なんですね。

 

入居者さんを常に応援する大家さんです。

クリエイターさん方が、入居しやすいくて出やすい料金設定にしています。

僕らは常に、いつどんなんときでもすぐに応援してあげられる状態を作ってあげないといけないと思っていて、タイミングを大事にしています。

この場所が手狭になれば、送り出すし、羽ばたくタイミングが来てるのに逃しそうな時は、むしろ背中を押します。

 

ーーー 背中を押してくれるなんてありがたい!自分では気づけなくて、なかなか1歩踏み出せない時もありますよね。そして、入居するときに保証金や手数料がかからないのは親切すぎます。

 

新しい使い手さん募集中!

現在利用されている方は、ご近所の方もいますし、意外と遠方から通われてる方もいます。目的もバラバラで、昼間は仕事をしてて、夜や休日をアトリエとして利用している方もいますよ。

家で1人で作業するより、人がいるだけでヒントが得られます。相談まで行かなくても何となく話せる人がいるだけでも気分が変わります。

 

利用者さんの声をいただきました。

(Ludiqueさん)

「クリエイターさんたちとのコミュニケーションが刺激となり、より良い作品作りにつながっています。」と、アパレルブランドLudiqueさん。

生地からセレクト頂けるセミオーダーのスカートやBAGなど、生地選びからパターン、デザイン・縫製までひとつひとつ丁寧に製作されています。

もう何十年もミシンを触っていない私にとって、間近で製作風景を見させていただけたことが新鮮で、すごく刺激になりました。ありがとうございました。

 

細川さん、今後の目標を教えてください。

来年に向けて、隣の棟を改装しようと計画中です。4年前にここが完成したんですけど実はまだ半分で。

ここ自体は「暮らしの場」というか、一つの集落みたいな雰囲気にして行きたいんですよ。時間があったら立ち寄りたくなる場所。

今後は、便利というよりも、そこにしかない意味や価値に人は動かされていく。考えだったり、概念や価値観をしっかり持たないと、ただオシャレなものというだけでは人から必要とされていかないと思うんです。

「福祉」「食」「アート」というキーワードにたどり着く…そういう構想を完成させていきたいと考えています。

誰もが生きやすい環境作りを目指しています。

 

 

取材を終えて

ヨリドコからさらに新たなストーリーが始まっているのですね。同時にまたまた大変なところからのスタートとお聞きし、次の空き家活用も目が離せません。

「福祉」というキーワードに対し、これからどんな時代になっていくのか?将来への漠然とした不安の中、幅広い分野で活躍されている細川さんの言葉にはすごく説得力があり共感してしまいました。相談しに行ったわけではないけれど、取材しながら、なんだか気持ちが楽になっていました。

超絶ポジティブで、まさにヨリドコな方にお会いできました。

そして、このクリエイターたちが発信するモノづくりの新拠点は、大正区で是非立ち寄ってほしい場所の1つです。

 

【お邪魔したお店】
アトリエ+店舗+住居 ヨリドコ大正メイキン
住 所:大阪市大正区泉尾2-21-7
電話番号:06-6456-2460
営業日は、Instagram @yoridokoshop にてご確認ください。
営業時間 :平日14:00〜18:00/土日祝11:00〜17:00
定休日:不定休