地域密着サロン「きごころ」に至った木材店のルーツを直撃!【大阪・大正区】

こんにちは!大正Laboライターの西浦です。

本日ご紹介させていただくのは、「たろうの店  きごころ」さんです。

いつものごとく大正区をぶらり。この日は千島周辺で用事を済ませ、キョロキョロしながら歩いていると、こちらの看板が目に入りました!

無料休憩スペース!

こんなところに突然休憩スペース?

ここで休憩していーのかな?? という疑問もありましたが、興味津々。密かに、ちょっと歩き疲れたから休憩したい!って思ってたので、図々しくお邪魔してみました。

 

木の温もりに癒される店内。やさしいスタッフさんが「ゆっくりして行ってください」と、コーヒーまで出していただきました。ドリンクはセルフサービスでいただけます。

「みなさん遠慮してなかなか気軽に入って来てくれないんです」と仰っていました。

とっても厚かましい私たちですが、1歩踏み込んで喜んでいただけたので良しとします(ポジティブ)

少しスタッフさんにお話を聞かせていただき、大正区の昔の写真や、スライドショー、資料など、貴重なものまでたくさん見せていただきました!!

というか

この写真がすごい!!

今まで大正区で出会った方や、商店街の年配の方々からお話には聞いていた「昔の大正区」を見れました!!!

 

チンチン電車がほんまに通ってた!

チン電の線路もありますね!  めちゃめちゃ賑わっていたという商店街、大正区にあった木津川飛行場、機帆船、鶴町には映画館も!?

あの話は本当だったのですね!!いや、決して疑っていたわけではないのですが、証拠写真を見れた! 点と点が繋がった!めちゃ納得!という感じでしょうか。

こんなに嬉しいことはありません。今まで想像でしかなかった自分の頭の中の映像がクッキリ見えたのです。

興奮さめやらぬ暫く夢中で見入ってしまいました。

 

 

社長にお話を聞かせていただきました

大正区の昔の写真や店舗についての詳細を伺いたく、改めて社長様を取材させていただきました。

「きごころ」さんは、山忠木材株式会社様が運営されています。

大正12年創業、今年で97年目の山忠木材、3代目の山本忠社長です。

 

 

山忠木材のはじまりは?

聞くところによると、もともと祖父が富田林で林業と醤油作りをやってた時に、なんらかの方法で丸太を大阪まで持って来て売ったというのが始まりです。

最初から大正区ではなかったのですね。そして富田林で醤油作りというのも気になりますが・・・歴史を感じます。

 

 

大正区の「昔の写真」はどのように集められたのですか?

元々この写真は、大正区役所にパネルで置いてあったんです。パネルの存在は大正歴史研究会さんから教えてもらいました。持ち出しはできないんですけどね。

パネルで保管してるだけだったのでそれを私たちがデジタル化しプリントしたんです。そして大正区役所に寄贈しました。他には、歴史を語る会の方から「こんな写真あるよ!」といただいたものもあります。

そんな経緯だったのですね!今の時代、デジタル化しなきゃと思っていても、なかなか誰もができることではないですよね。素晴らしい取り組みに大正愛を感じます。そして大正区の今と昔の変わりようがすごいです。

 

戦後、一番大きく変わったのは千島

駅前の辺り、三軒家西は戦災で焼けなかったから今も変わらず狭い路地が多いと思いますが、三軒家東は焼けてしまい、区画整理されて道路も広くなりガラッと変わっていますね。

でも我々が思うには、戦後一番大きく変わったのはここ(千島)だと思います。貯木場があったり、この辺りは元々運河でしたしね。昭和30年代から区画整理事業が始まりました。

実はこの会社の建物も昭和45年からなんです。それまでは千島グランドの辺りでした。昭和山界隈は住之江区平林の材木屋さんが元々いた場所でした。平林の材木屋さんはほぼ大正区出身なんですよ。木材団地が美原とか岸和田にあるんですが、そこの人たちも昔大正区で商売やってて区画整理で移った人が多いんです。

 

大阪の木材の発祥は大正区?

いえ、昔々を辿ると、大阪の木材市の発祥は土佐材なんです。

西区の長堀通りにある土佐稲荷神社が土佐藩の藩邸跡なんです。材木は土佐から運んできて、木材の売り買いで最初に繁盛したのは横堀通り(長堀通の北側)あの界隈なんです。

材木屋やるには場所が必要だから大正区に行って、平林に行って。岸和田に木材コンビナートできてという流れですね。

 

土佐!? まさかの高知県から材木が来てたなんて初耳です。また1つ新たな事実を知ることができました。

 

この界隈、千島や小林に材木屋が集まっていました

木材屋といっても形態がいろいろで、大きく3つに別れています。

①専門の樹脂を扱うところ

②製材所(メーカー)※昭和40年代に平林に移った

③流通業(仲買人)※建築屋に卸している会社(山忠木材さんも流通業にあたります)

大正区はバスしか通ってないと言われるけれど、輸送面に関しては東西南北非常に便利な場所なのです。特に43号線で神戸方面も近いですし。なので流通に関わる材木屋が大正区に残っているところですね。でも材木屋もだいぶ減りました。

大阪木材仲買協同組合の会員も最盛期は1000社加盟してたのが現在400社です。大正区は279社になりました・・・

 

木材屋が減った理由は??

まず新規参入はほぼない。ホームセンターの機能拡大もある。地場の工務店の仕事が新築ではなくリフォーム主体になってきている。高齢化も進み廃業されたりというところですかね。

新築の需要は大手のハウスメーカーに行ってます。今は完全に棲み分けされてますね。パワービルダーや、大手ハウスメーカーは直接製材所に行くので、仲買人は通さないんですよね。

 

では、仲買人の存在意義とは?

ホームセンターにも買いに行ってる工務店さんも多いと思いますが、わざわざ自分たちで取りに行かないといけないのは時間の無駄なんです。そんな時に材木屋(仲買人)は現場まで運んでくれる。少量でもタイムリーに配送しないと仕事が進まないですしね。そしてプロである材木屋から購入しているという安心感、もあると思います。でも、一番大きい存在意義は、単に売り買いだけでない、地域のことや様々な情報交換ができる点にあると思っています。

 

 

「きごころ」というサロンを作ったきっかけは?

当時参加したセミナーで、「材木屋さんって、地域密着経営してますか?」と言われたんです。

「あなたたちは気づいてないやろうけど、地元でずっとやってきているということは、とても信用があるんですよ。だから地域密着経営に目を向けていかないといけない」という話を聞いたのがきっかけですね。

得意先は広範囲に渡っていますし、卸なので地域密着と言われても、ゼネコンや工務店とのやりとりしかなく、一般の方との関わりが全くありませんでした。どのように接点をもてばいいのか? 接点を持ちたい!と思い始めたのがきっかけで、地域の方が気軽に立ち寄れる場所を作りました。

 

 

地域密着サロン「きごころ」とは?

① 住宅相談を受け付けています

一般の方は案外、地元の工務店を知らないし、知ってても会社って入りにくいし、敷居が高いんですよね。

大正区は割と土着率が高いので高齢化していますが、それでも人は入れ替わってます。が、若い人はホームセンターや大手に行っている・・・

それはあかんやろという思いで、住宅に関する困ったことを無料で相談できる場所を作りたいと思い「住宅相談」のチラシを作成しポスティングしていきました。

最初は反応なかったのですが、忘れた頃に「雨漏りしてる」と電話がかかってきたんです。困った時に電話しようと何年も大事にチラシを保管してくれてたみたいで、それを聞いた時はとても嬉しかったですね。そこから少しずつ反応も増えていきました。

 

② 福祉用具を取り扱っています

まず地元のお客さんからは「木なんか買わへんで」と言われ、ごもっともだと思いました笑。

当時ご縁のあった建築士さんのアドバイスで、福祉住環境コーディネイターの資格を取得しました。(高齢者や障がい者が自宅で安全かつ快適に暮らせるように、より住みやすい環境を提案するアドバイザー)

そして、小売をすれば地域の方との接点がもてると思い、福祉用具を取り扱おうと、福祉用具専門相談員の資格も取得し、福祉用具の販売を始めました。

 

③ おしゃべり交流、セミナー、サークル活動の場所として提供しています

時間とテーマを決めてセミナーを開催しています。住まいのことは建築士さん、福祉についてはケアマネさんなど、

全然知らない人同士が、1つのテーマで集まり、そこから知り合いになり、交流ができたらいいなという想いです。ホームページや、区役所の掲示板でも告知をしていますので、ぜひチェックして見てくださいね。

サークル活動の場としても活用してもらっています。女性の集まりがほとんどです。今は無理ですが、男性の居場所作りの場としても活用してもらえればと思っています

 

 

サロンを作った年に「社内イベント」も始めました

「きごころ」を作ったのは7年前。山忠木材90周年の時です。最初は企業紹介をする目的でイベントを始めました。

警察署や消防署の方々、社協さんなどにも声をかけさせていただき、地域の方が気軽に交流できるお祭りみたいな感じですね。そこから毎年開催してますが、350人くらい集まってました。声かけていろんな方が集まってくれるのは大変ありがたいことでした。

 

残念ながら今年のイベントは中止

社内でも会議でイベント案を練ってたのですが… 今年はさすがに無理だとなり、4月の時点で残念ながら中止と決めました。

その分、来年は倍返しで開催!!と思っていたのですが、この調子だと来年の開催も難しいかもですね、と。。

 

 

会報誌のファイリングも素晴らしい!

最初は一般向けではなく、業界紙のネタとして集めてたのですが、その業界紙がなくなってしまったんです。でも経済新聞を読んでるので、そこでインプットしたネタを、材木屋の視点でアウトプットしたいと思いました。

これからの住宅を考えていく時に、キーワードはなんやろ?って考え直したんです。

そして、福祉(優しさ)、エコ(思いやり)、耐震(やすらぎ)の3つだと思い、そのキーワードで発信していこうと決めました。

その視点で興味のあるものをピックアップして要約し、「きごころ通信」として得意先やお取引のあるファンの方に毎月発信しています。

 

継続は力なり。社長、本が出せそうですね!!

 

 

どんな大正区になってほしいですか?

困ってるのはやっぱり交通網じゃないですか。バスの行き先を分かりやすくしてほしいですね。

区内間のバスは便利だし住んでる方からは不満はないと思いますが、外部から大正区に来てもらうには、分かりにくすぎると思います。

電車は行き先分かるけど、バスはややこしい。このバス乗って自分の目的地に着くのか?不安だと思います。

バスしかないのなら、もっと分かりやすく案内してもらえたらいいなあと思います。

全然知らん人にも分かりやすくしないと、便利にしないと大正区に人を呼べないでしょう。地元でお金を使う方が増えないと活性化もできないですよね。

人口増を図っていくには、マンションが立つのが一番いいですかね。

 

最後に

確かに、大正区にまたマンションが建ち、若い方や子どもたちが増えたらいいなあって私も思います。

地域の方のために、いろんなことを想い、いろんなことを始め、いろんなことを発信したり。思っていても実行できる人って少ないのですが、そこに挑戦する山本社長に勇気をもらいました。社内イベントの為に「逃げ恥ダンス」を練習して楽しく踊ってる姿、とっても素敵でした!!

そして大正区の昔の写真、また見せていただきたいです。みなさんにも是非見ていただきたいので、コーヒー飲みたいなーって思ったら、「きごころ」さんへ寄って見てくださいね。

そして、大正区のお宝写真があるよって方も「きごころ」さんへ見せに行ってくださいね。

 

 

【お邪魔したお店】

たろうの店 きごころ

住 所:大阪市大正区千島3-18-9(山忠木材株式会社 内)

電 話:06-6552-0781

営業時間 : 平日9:3016:30 土曜9:3012:00

定休日:日曜・祝日

Nishiura

大正区研究中のライター西浦です。
大正区の魅力を楽しく分かりやすくお届けしていきます。

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